2011/03/05

公共空間の使われ方














明治通りの早稲田大学西早稲田キャンパス近くの風景です。いろいろ事情はわかりますが「これはヒドイ」レベル。なんでこんなことになってしまったのでしょうか。

ここ数年で明治通りの拡幅工事が一気に進み、これまで暫定的にあった低層部分が撤去されてきました。(道路の拡幅工事等は決定されてから皆の合意をとったりと、実際拡幅するまでに何十年も時間がかかるものなので、壊すことを前提として暫定的にものを建てることができます。それがここ数年で一気に撤去工事が始まっていたわけです。例えばコンビニの拡幅部分を壊して店舗を小さくしたり。)そうして出来た拡幅部分なのですが、通行人の侵入をいやがったとしても正しい公共空間の使われ方とは言い難いですね。

ついでに言うと日本では総合設計制度として誰でも使えるという建前の「公開空地」をつくると建築の容積を増やしてよいという制度がありますが、それによって出来た空地は寂しい限りです。ある「法」では都市に空地を作るという方向性を打ち出しているのに関わらず、それを積極的に利用したりいいものにするということを制限する別の「法」の存在故です。そもそも(少なくとも近年の)日本では「公共空間」はみんなのものであって「個人では自由に使えない」という意識が強いため、公共空間を有効に活用することは苦手と言っていいかもしれません。公共だからみんな使ってよいのですよ、というほうが自由な都市となるはずですが。

我々建築や都市をデザインする立場としては、強制的に(トップダウン的に)それはダメ、アレをしなさい、等と言っても仕方ありません。あるいはなんとかこじつけて、法でそのような類の行為に制約を課すことも自由な社会とは言えません。ごく自然にこの写真のような事態にならないような、自発的に行為を誘導するような方策が必要なのです。デザインとは見た目だけの問題ではもちろんなく、様々な社会問題や社会制度と関連しているのですが、それらを目に見える(体感できる)形で統合するのがデザインの役割であるわけで、所有者にも使用者にもただの通行人にも「嬉しい」状況をどう誘導できるかということを実践として試みていきたいなと思っております。